カスタムペイントは各方面で流行ってきているようですね。そんな訳で今回はマイフォルツァのホイール塗装作業を紹介し、皆さんの作業の足しにでもして頂けたらと思ってレポートを致します。(笑)
今回は新車塗装用の塗料とスプレーガンを使用していますが、それ以外の手順は缶スプレーでも同じです。一つ参考にしてください。(笑)1.足付け作業
足付けというのは、元々ある塗膜や生地に細かい傷を付けて塗料の定着を確実な物にする作業です。これをしないと塗料が簡単に剥がれる元になります。一般的にソリッドカラーを塗るなら400番程度(メタリックは800番程度)のペーパー掛けをするように雑誌などで紹介されていますが、ペーパーは細かいところを足付けするのに向いていないと言うことと、ペーパー目が詰まって直ぐに取り替えなくては成らないと言う不経済さから「スコッチプライト」と言うナイロンたわしのような磨き材を使用するように代わってきています。これも数種類の荒さがあり、使用範囲が広がったように思います。
作業の方法は、塗る生地に対してスコッチプライトで満遍なく擦ります。細かいところも念入りに。ただし、あまり強く擦ることはありません。強く擦っても、より塗料が良く付くと言うことには成りませんから。(笑)表面に艶が無くなり、均一に成れば足付け作業は完了です。
ここで、もしも生地に傷があったら、、その時はペーパーが活躍します。浅い傷なら周辺をペーパーで削り込んで傷の谷の部分と高さを合わせてしまえば傷は無くなったようになります。この時、傷の部分だけを削ろうとするとエクボのように成るので有る程度広範囲に削り込むことが大切です。
よく、元の塗料を剥離しないと良い結果が得られない。と塗装工などに脅かされて、それを忠実に守って作業する人が居ますが、あれは殆ど陰謀のようなものです。(笑) 私は幾つかの板金工場などで塗装の風景を見ていますが、元の色を剥離してから塗装しているのは、ユーザーが缶スプレーでデタラメな塗装をしてある時だけです。缶スプレーで塗ってある上に塗装すると下色が溶け出る事が多いので、この場合は剥がすかクリアを一回塗ってから色塗りをした方が良いでしょう。基本的に車両メーカーが塗った色(新車の時のまま)に何かを塗ると言う場合と、きちんとした板金塗装工場で修理された物に塗るのであれば塗膜の剥離は必要ないと思って良いでしょう。
足付けが出来たら塗りたくない部分にマスキングを施して次の作業に進みます。
2.脱脂
下準備が出来たら「脱脂」という作業をします。「シリコンオフ」や「ワックスオフ」等という名前で売られているアレですね。これが無くても、本塗りに使用する塗料と同一銘柄(塗料希釈用)のシンナーを使用して拭いても構いません。但し、価格はだいぶ高いですけどね。(笑) ま、ホビーユーズならたかが知れているので、あれこれ買うよりは賢明な選択になるかも知れません。
3.プライマー
塗料には何種類もあり、素材に合った塗料選びが大切です。しかし、世の中には塗料が付きにくい素材があります。それらを結びつけるには便利な物があり、それは「プライマー」と呼ばれる物です。最近ではプライマーは樹脂生地に塗装するときにのみ使われる樹脂用が増え、金属や金属にパテを塗った上にはプライマーと平滑材であるサーフェイサーを混ぜ合わせた「プラサフ」と言う物が使われるようになりました。
プライマーの使い方は「軽く塗る」と言う物が多いようです。塗膜として使用するのではなく、素材と塗料の仲立ちをするものですから、薄く均一に塗れれば良いと言うことでしょう。
このホイールはアルミ合金なので金属用のプライマー(プラサフ)が必要かと思われるでしょうが、実際には元の塗料があるので塗料対塗料と言うことになるのでプライマーは要りません。ただ、元々塗られている塗料の性質が分からないので、特別に白色の樹脂用プライマーを塗ってみました。樹脂用プライマーは対塗料やプラスチック素材で相性が悪い場合には必要不可欠です。更に、本塗りの色に合わせて着色が数パターン有るので、色合わせをしておくと本塗りが楽になります。(明るい色を塗るなら白色の着色プライマーが良い)
この時、生地に大きな傷等がある場合はパテ塗りやペーパー掛けで修正してから塗った方が良いですね。
左が今回塗ったレガシー用ピュアホワイト。右がプライマー。 4.サーフェイサー(以下サフと略す)
プライマーの部分で触れましたが、今はプライマーと一緒になっている物が多くなりました。缶スプレーでもプライマーサーフェイサー(プラサフ)として販売されていますが、一液性サフ(シンナーの蒸散で固まる)は膜厚が稼げないので、小さい傷が多い物は二液性(シンナー以外に硬化剤を混ぜるタイプ)のサフを使用しないと手間ばかり掛かって綺麗には仕上がりません。サフは傷があったり、パテ埋め作業した部分などを重点的に塗り、下地が元の塗装だった場合は基本的に全面に塗る必要はありません。どうしても全面に塗らなくては成らない場合というのは、下地の塗料がシンナーを弾く場合などです。
サフが塗れたら乾燥します。乾燥が出来たら「サフ波」と呼ぶ、塗膜の凸凹をペーパー(ソリッドなら400番以上メタリックは800番)を当てて消していきます。この時、平面に対して塗ったとしたら、必ず平面(ペーパー掛け用のブロックなど)にペーパーを巻いてペーパー掛けをしなくてはいけません。手で持ってペーパーを当てると指で押した所が凹んでしまい、いつになっても平らになりません。「平らな物には平らなペーパーを当てないと平らには成らない」と言うことを肝に銘じましょう。
5.脱脂
以上の作業が済んだらまた「脱脂」という作業をします。本塗りに使用する塗料と同一銘柄(塗料希釈用)のシンナーを使用して拭いても構いません。
6.塗装(本塗り)
以上の作業が済んで、脱脂に使用した揮発油が完全に乾いていることを確認します。生地が入り組んだ形状の場合はエアブローして細かい埃を飛ばします。タッククロスという専用の布を用意して表面を掃くように撫でます。無い場合は綺麗な(新品はダメ、最低一回以上は洗濯して)ウェスなどで表面を掃くようにして表面のゴミに最大の注意を払います。
表面にゴミがないことを確認したら塗装をします。塗装に関しては各人の技量と修得に任せるしかないので、このページでは何とも言えません。(笑) 垂れるのが恐いのであっさりと塗りがちですが、あっさりと塗ってしまうと輝きが出ないので、どの位噴射したら垂れるのかを充分テストしてから対象の生地を塗るようにしましょう。有る程度の艶が作れれば、その後の磨き作業が楽になったり、場合によっては磨かなくても大丈夫なくらいになります。
今回はガン吹きで、前後で200cc程度の塗料が必要でした。缶スプレーだとシンナーが多く色が薄いので、有る程度の艶を作りながら塗ろうとすると4倍は用意した方が良いと思います。但し、缶スプレーでも、この後にクリアーを塗るので有れば、下の色を隠蔽できるだけの量でよいので倍量の用意で良いのではないでしょうか。
写真はスプレーガンの一例です。左は重力式供給型。右は加圧式供給型。塗装専業用なのででかいです。 これが塗り上がったホイールです。前輪用にタレが生じている。(笑) 今回は、ソリッドカラー専用塗料で塗ったため、クリアーの塗装はありません。缶スプレーで塗装する場合は、塗料成分が薄く、塗膜が厚く出来にくいと言うことから、クリアーを上塗りすると有る程度の強度が出ると思います。クリアーにはラッカー系と言う、シンナーの蒸散により固まるタイプ以外にウレタン系と言う、硬化剤があるタイプがあります。硬化剤があるタイプは、缶を激しく振るなどして硬化剤を混ぜて使用するもので、塗装後の硬化が早いし、膜厚が幾分厚くなるので、最終工程の「磨き」に対する「磨き代」が作れます。磨き代を有る程度作っておかないと、磨き過ぎであっさりと下のカラーコートを削ってしまい、また塗り直しと言うことになってしまいます。
一般的な自動車板金工場などでは、こう言った、ソリッドカラー専用塗料を持っているところと、持っていないところがあります。ソリッドとメタリックを兼用する塗料を塗装工場から分けて貰って(調色して)塗装する場合は、艶がない程度にカラーコート(本塗り)した後にクリアー層の塗装(上塗り)をすること(この時の本塗りと上塗りの時間差は各塗料の作業マニュアルに準じましょう)になります。兼用塗料の場合はクリアー塗装の艶で塗装の善し悪しが決まりますから、充分に練習して臨んでください。クリアーを塗って仕上げる兼用塗料は手間が掛かる物のように感じますが、クリアーはタレが生じても削り込みがしやすいので、慣れていない人はかなりベットリと塗ってから、垂れた部分を削り落とすという作業方法で鏡面仕上げを得る方法もあります。
7.乾燥
塗装が終わって暫くは表面が柔らかい(流動的)ので手を触れぬように十分注意しておきます。有る程度乾いたら乾燥機か自然乾燥かをして行きます。塗料によってはマスキングとの貼り付きが生じるので、表面が乾き始めた段階で剥がさないとダメな物もあります。
でかい加熱乾燥機にホイールが二個(笑) 乾燥に関するデータは各塗料の取扱説明書に準じてください。缶スプレーはシンナー成分が多いので、急激な乾燥をすると塗装面がクレーターのようにブツブツが出来てしまうことがあります。
8.磨き
塗膜がある程度の硬度を持ったら磨き作業に入ります。一般に売られている物では「極細目」のコンパウンド辺りが入手しやすいでしょう。ホームセンターなどによればこれよりも細かい「鏡面仕上げ用」の磨き剤が売っていたりするので興味がある人は調べてみてください。極細目を掛けた後に鏡面仕上げをすると本当に新車を越える輝きが得られるでしょう。
仕上げ用コンパウンドは住友スリーエムやスタンドックス等が塗装業界では実績があるようです。今回はスリーエムのフィニシング・コンパウンドと言う物を使って磨いてみました。このフィニシングコンパウンドという物もDIYの普及からか、近所のホームセンターでも手に入るので、自家塗装の裾野は着実に広がっているのかな(^^?磨きは、ザラツキを感じるようであるとコンパウンドでは無理です。ペーパーの800番か1000番辺りで慎重にザラツキを取りましょう。有る程度、平らにならないと磨き剤では艶が出ません。また、先の話のように「塗料のタレ」が生じた場合はこの部分を400番位のペーパーで削り落とし、800番くらいでならした後に磨き剤で研磨します。